宿毛市

あずきとぎ

最終更新日 

その1

橋上(はしかみ)の野地のしょうぶだねの入口に、小さな土橋(どばし)がかかっておりました。昼間は仕事の行き帰りや用事の人達がこの橋を渡りました。
夜になると静かなもので、通る人もあまりおりませんでした。
いつのころだったのでしょうか、この土橋の下におかしなものが住んでいるという噂が広がりました。
そのおかしなものは、昼間はひっそりと静かにしておりますが、夜になるとせっせと働き始めるのです。
しかし不思議なことに、働く姿はいっこうにみせてくれないのです。


その2

それでも土橋の下の水辺では、シャッ、シャッ、シャッと音がしはじめるのです。その音は、小豆(あずき)をとぐときの音とそっくりです。
ですから、村の人達は橋の下のへんなものに小豆とぎという名前をつけてやりました。
近所の人は夜になって閑(ひま)が出来ると、小豆とぎが達者かどうか時々心配しながらその音を聞きに行きました。


その3

噂を聞いて、遠方からも聞きに来る人がありました。
小豆とぎは決して悪さをしませんでした。世間がだんだんとさわがしくなってきたので、多分、いや気がさしてきたのでしょう。いつの間にか小豆とぎは、どこかに逃げ出してしまいました。
静かな静かな山奥の土橋の下では、今でもシャッ、シャッと小豆をといでいるかもしれません。

このページに関するお問い合わせ
宿毛市 宿毛歴史館
〒788-0001 高知県宿毛市中央2丁目7番14号
TEL:0880-63-5496 FAX:0880-63-2618
E-mail:rekishi@city.sukumo.lg.jp
このページに関するアンケート

この情報は役に立ちましたか?

このページは見つけやすかったですか?
見つけやすかった 見つけにくかった どちらとも言えない
このページの内容はわかりやすかったですか?
わかりやすかった わかりにくかった どちらとも言えない
このページの内容は参考になりましたか?
参考になった 参考にならなかった どちらとも言えない

↑Top