歴史散歩コース約2Km/所要時間約50分
最初に、はっきりお断りしておきます。
宿毛はとても遠いところです。
たとえば東京から訪れるときは・・・・・・
羽田空港から高知龍馬空港まで、1時間半のフライトを利用される方も多いでしょう。
進路右側の座席で、天候がよければ、着陸20分前あたりから、高知県東端・室戸岬が見えます。地図を見れば一目瞭然ですが、高知県は四国四県のなかで、太平洋をほぼ独占しています。
東西に長い海岸線の、西端近くの反対側に位置するのが宿毛。
龍馬空港からクルマで向かうなら、さらに2時間半を要します。
羽田からの飛行時間のほうが、はるかに短いじゃないかと、複雑な思いを抱かれる方がおいでなのも、当然かもしれません。
しかし、訪れる価値は存分にあります。
あるどころか、宿毛だからこそ満喫できること、満載の地なのです。
見どころの子細は、カイドに紹介されています。
物書きが魅力を文字に置き換えるなら「遠きがゆえにの独立独歩に尽きる」です。
江戸・東京との距離はもとより、高知市内からですら、宿毛はいまも遠きところです。
しかし遠きがゆえに、他所には頼らず自己完結させるという気風が育まれました。
宿毛の名所見学の大半は、徒歩散策が可能です。つまり名所が凝縮されているのです。
ところがどこを訪れても、他の名所とは趣を異にしています。独歩性の発露です。
宿毛は多数の「郷土の偉人」を輩出しています。先達として江戸・東京に出て成功した者が、郷里の同朋を受け入れました。
その連鎖で、次々に中央で名を挙げることができました。
しかも中央部に留まらず、宿毛に恩恵を還元しています。
宿毛が遠き地であるのを、先達は知悉していました。それゆえ後輩が巣立つための手を、中央から差し伸べたのです。
遠きを承知で宿毛を訪れてくれた旅人は、しみじみ、声を残してくれます。
「きた甲斐があった」
「ぜひまた来たい」
ただの褒め言葉ではありません。
驚くほど多くのリピーターが、再びはるばる訪ねてくれています。
この町に横たわる、ゆるくて優しい息遣いは千年ものです。
一歩を歩けば分かるでしょう。
ぜひ、宿毛にお越しください。
小さくても、いい町ですから。
(作家・宿毛大使)