1 土器 | … | 貯蔵庫の内外より2,000余点の土器の破片が出土したが、小さな破片が多く、完全に復元できるものはほとんどない。壼・かめ・器台・たかつき・こしき等が出ている。壼は、口頸がまっすぐに立ち、口縁がやや外に反り、二重口縁である。頸部から胴部に移る所に、とがった突帯があり、胴部はよく張っている。又二重口縁をせず頸部の突帯のない壼もある。かめは、ゆるやかなくの字の口頸で、壼・かめ共に底部は小さな平底である。これらの土器はすべて赤褐色であるが、焼きはあまりよくない。こしきは高さ7センチロ径10センチ位の小形のものが数多く出ている。底に小さな穴があるので、御飯をむす、こしきと思われるが、中村市で発見されたこしきに比べると小さいのが、その特徴である。籾痕のある土器も2点発見されているので、当時稲作りをしていたことが立証される。これらの向山出土の土器は芳奈Ⅰ式土器と命ぜられ、弥生後期でも終わりごろのものであるが次の芳奈Ⅱ式土器よりは、少し古いものである。 |
2 石器 | ||
(イ)石包丁 | … | 打製石包丁が7点も出土した。長さは7~10センチ、幅5センチ位で粘板岩をうちかいで作ったもので、長辺に刃がつけられ、両端をうちかいで、紐がずれ落ちないようにしている。一見石錘とよく似ているが、刃がついているのと厚さがうすい点が異なっている。いうまでもなく包丁として使ったのではなく、稲の穂つみ具である。他の地方では、小さな孔のあけられた磨製の石包丁がよく発見されているが、宿毛市では、そのような精巧なものは1点も発見されず、打製の粗製のものばかりである。農業生産が向上して多忙となり、ていねいに穂つみ具をつくる時間もなく、このような粗製のものになったのではなかろうか。 |
(ロ)鈎形石器 | … | 礫の一方をうちかいで鈎形にしたもので、かき(貝)を打つ道具であろうといわれている。2個出土しているが、かき打ちだとすると、遠く宿毛湾方面まで出むいていたのであろう。 |
(ハ)たたき石 ・すり石 | … | 円礫を利用した周辺に打痕又はすり痕のあるものである。木の実などをたたきつぶしたり、すりつぶしたりしたものであろう。 |
(二)砥石 | … | 数個の砥石が出ている。石器や鉄器などの研磨に用いたものであろう。直線の入ったものもある。 |
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芳奈向山遣跡出土のこしき | 芳奈向山遣跡出土の 籾痕土器 |
芳奈向山遣跡出土の土器 |
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芳奈向山遣跡出土の土器 | 芳奈向山遣跡出土の 土器芳奈Ⅰ式土器 |
芳奈向山遣跡出土の 打製石包丁 |
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芳奈向山遣跡出土の 鈎形石器 |
芳奈向山遣跡出土の たたき石 |
芳奈向山遣跡出土の砥石 |
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芳奈遣跡出土の 芳奈Ⅱ式土器 |
芳奈遣跡出土の 芳奈Ⅱ式土器 |
芳奈遣跡ひょうたん形 土器出土状況 |
芳奈遣跡出土 ひょうたん形土器 |
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芳奈遣跡出土ひょうたん形土器実測図 | 芳奈遣跡出土の籾痕土器 | 芳奈遣跡出土の打製石包丁 |