宿毛市史【近世編-文化人と宿毛-文学者の宿毛来訪】

海量法師の大島八景を詠める歌

海量法師は近江の国の人で、賀茂真渕の高弟で、万葉憎といわれ、歌集『ひとよ花』を著している。この海量が、天明5年(1785)10月18日、難波を船出して、瀬戸内海を通り、25日大島に泊まり、宿毛大島八景を呼んだ。
大島とふ島にすめる人のこふによりて、其所の8つの景をめづる歌
  とさの海松尾のみねをふきおろすあらしにさわぐおきのしら浪
  おきの島にゐむかひをれは浪のへにいさりたくひのみえぬ夜ぞなき
  かた島の浦風さむみ夜もすがらしぐれの雨にいめもむすばず
  くれなゐのもみぢはにほふ夕ぐれはにしきのさとの名にぞおひける
  うなばらに日のかたむけばささ山のみねのしらゆきさへぞまされる
  くにうどはかなしからじや沖辺なるうぐる島べにかりのなくこゑ
  とよくにの沖にぞみゆる大島にかへる大ふねあまのつりぶね
  あまのすむ大島浦の夕なぎにすくものかたにかねぞきこゆる
海量は、28日には陸路を通って中村に行き、更に招かれて佐岡に行き、11月24日には下田へ、翌年25日中村に帰った。12月には清水へも行っている。(土佐史談62号関田駒吉海量法師遵乃記より)