宿毛市史【近世編-幕末と宿毛-宿毛湾の海防】

火立場(狼煙場)

異国船が発見されると火立場や狼煙場で火や狼煙のろしをあげて通報した。これらの火立場で直接連絡のできない所はつなぎ火立場を設けて連絡した。火立場は土佐の海岸いたる所にあり異国船が発見されるとこれらの火立場では次々と連絡しあって高知の城下まで知らせることができるようになっていた。
幡多郡下にある火立場は、沖の島、大島、伊与野、泊浦(白崎の繋火立場)橘浦(源吾森の繋火立場)安満地(堂の森の繋火立場)、柏島(岩田城の火立場と龍峠の繋火立場)古満目、西泊、小才角、大津、三崎、清水、松尾(繋火立場)伊佐、津呂、窪津(繋火立場)以布利、下の茅(繋火立場)、布、下田、伊田、鈴浦などである。(憲章簿海禦之部四、並びに高知藩兵制史料海防編上による)
この中で伊与野の火立場は、伊与野村番屋城にあり、南は泊浦の白崎の火立場へ、北は宿毛の大島の火立場へつないでいた。大島の火立場については、弘化2年の古谷良材の写生図によれぱ大島の1番高い山上に小さな小屋を画き、それに峰火台と書いてあるのがそれで、この小屋に狼煙の諸材料を置いていたのである。
火立場や狼煙場で狼煙をあげる場合の狼煙の処方は、平尾道尾著『続郷土史夜話』によると次の通りである。
   狼煙の方
一、狼糞1升(但1度分)
一、煙草茎1把(但1尺廻り)
一、硝200目壼に入(1度分56匁)
一、鉄砲明薬200目(但1度分56匁)
一、肥松15貫目
一、摺ぬか3俵(五斗入但穴の底に敷松葉ヒササキの間撃)
一、青松葉ヒササ木(但山に有之に付兼て用意に及ばず)
一、小鍋1枚
異国船を発見した場合の通報の方法は、狼煙のほかに、鐘、ほら貝、太鼓も利用された。すなわち異国船を発見すると、早速合図の狼煙をあげ、更に異国船が近よった場合には、その浦の寺院の鐘をつき、太鼓を打ち、或はほら貝を吹いて通知をし、寺院のない浦では隣浦、隣村の寺院で鐘をつき、次々と村々浦々へつきついで知らせるようにしていた。この早鐘をつく場合には分一役等で協議して、その指図を受けるようになっていた。
狼煙、早鐘、ほら貝等の合図で異国船の来航が知らされると、警備の人達は直ちに現場近くの場所に集合して警備に当ったのである。

大島の火立場 幡多海岸の火立場 異国船に対する配備 異国船来航の節の処置
大島の火立場 幡多海岸の火立場 異国船に対する配備 異国船来航の節の処置