宿毛市史【近代、現代編-農業-農地改革】

宿毛市農業協同組合

宿毛市農業協同組合は昭和43年6月1日宿毛町農業協同組合、小筑紫町農業協同組合、橋上農業協同組合が合併して設立された。その後50年5月1日山奈農業協同組合が合併して現在に至っている。

旧組合の概況
宿毛市農協
宿毛市農協
宿毛町農業協同組合は大正13年5月21日宿毛信用組合として設立され営業開始は13年6月1日である。昭和6年12月末の組合員数460名、総口数1,300口、出資総額2,600円である。昭和11年に信用購買組合となり14年に信用販売購買利用組合(産業組合ともいう)となった。16年の生活必需物資統制令により主食の集荷を産業組合の手で行うようになったので事務所が手狭となり、17年5月真丁の矢野酒店を購入し事務所を新築、倉庫を改造して移転した。主食の集荷の外醤油の醸造販売、木炭肥料農機具その他日用雑貨の販売、精米を行う。18年に公布された農業団体法により、19年5月には宿毛町農会を合併して宿毛町農業会となり、主食の出荷統制物資の取扱い等を行なった。昭和22年11月に農業協同組合法ができ、23年宿毛町農業協同組合を設立した。昭和30年頃には経営内容が悪化し32年再建整備法の指定を受けた。その後再建に努力し経営内容も好転してきた。昭和38年には有線放送業務を開始し約800戸の加入があり、農協と農家の連携、農家相互の連絡など大へん便利となった。39年7月26日真丁におきた大火の際事務所や倉庫が焼失し、宿毛市宿毛2266番地に土地を購入し、40年1月事務所が落成したので同月移転した。それより先昭和36年農協合併助成法が公布され合併促進が叫ばれたので、40年市内の山奈、平田、橋上、小筑紫、宿毛の5農協が合併問題について会合を開き協議したが合意に達することができず流会となった。
昭和43年再度市内5農協が合併について会合を持った結果、6月1日合併に賛同する橋上、小筑紫、宿毛3農協が合併した。合併前の宿毛農協の組合員数は968名であった。

小筑紫町農業協同組合
小筑紫農業協同組合
小筑紫農業協同組合
小筑紫町農業協同組合は昭和3年8月1日有限責任小筑紫信用組合として認可され、11月22日小筑紫村役場内に事務所を設けて信用事業を開始したが、理事は村吏員が兼務し組合長も助役であった。6年4月よリ有給の常務理事を置いた。7年5月には信用販売購買組合となり事務所を小筑紫部落の民家を借りて購買事業と信用事業を開始した。同年土地を買収し海面を埋立て事務所、倉庫、作業所を新築落成したので11月1日新事務所に移り数名の職員を置いた。9年2月より専務理事をおくことになり常務が専務理事となった。10年に組合長の兼任制を廃し専任組合長に切り替えたので村長が辞職して組合長となった。13年1月建坪本屋50坪下屋20坪の平屋建木造瓦ぶき土蔵造り農業倉庫1棟が新築落成した。13年6月高知県知事より農業倉庫事業経営の認可を受けた。19年5月12日に小筑紫村農会と統合して小筑紫村農業会となり、主食の集荷などで戦争に協力したが、23年4月解散となり4月27日に小筑紫農業協同組合となった。26年6月より本格的に木炭販売に着手し、29年10月より醤油の醸造販売事業も開始した。その後昭和43年統合により宿毛市農業協同組合となった。

橋上農業協同組合
橋上農業協同組合は大正9年頃橋上町神有の民家を借りて橋上信用販売購買組合として発足したが組合員の利用が少なく営業内容も微々たるものであった。昭和6年より木炭販売を始め木炭生産者に資金貸付を行なってきたが、取扱い数量も僅かであった。昭和14年米穀配給統制法が公布されたのに伴って主食物資の集荷、米の配給、肥料の取扱い等も行なった。
昭和19年に農会と統合して橋上村農業会となり、23年に橋上村農業協同組合となった。戦後は木炭の取扱いが急速にのびてきて、21年約2万俵であったものが22年4万俵、23年8万俵となり経営も順調になってきたので29年に事務所を新築した。その年に宿毛市制が施行されたので宿毛市橋上農業協同組合となり同年楠山に出張所を新築した。その頃より組合員の団結が強くなり炭の取扱いが飛躍的に伸び、33、4年頃は22万俵もの木炭の取扱いをし、民間人と運送委託契約をして専属の四輪自動車による片島までの輸送を行ない、又三輪自動車を購入してこれを補足した。
新事務所ができたことにより購買事業も本格的に始め日用雑貨の外、米、肥料、生産資材等の取り扱いをするようになった。昭和36、7年頃より木炭の売れ行きが悪くなり、生産も漸次減少して行ったので、しいたけ栽培などへと移行していった。その後昭和43年統合して宿毛市農業協同組合となった。

山奈農業協同組合
山奈農協は昭和8年6月21日保証責任山奈村信用販売購買利用組合として発足した。発足当時は事務所、倉庫各1棟であったが、14年に倉庫と木炭倉庫各1棟を建築し芳奈と寺ノ下にも集積倉庫を建築した。
山奈村経済更生計画書によれぱ昭和12年末の貯金高44,831円、預金高26,339円、販売高300円、購買高7,826円、利用高なしとなっている。
昭和12年以降は肥料、農器具、雑貨品の取扱いのほか木炭、なわ、畳表などの共同販売を行なっている。19年に山奈村農会と統合して山奈村農業会となり主食の出荷、統制品の配給等を行なってきたが23年解散となり、続いて山奈村農業協同組合となった。29年宿毛市制が布かれたので宿毛市山奈農業協同組合となった。それより先25年頃より主食などの統制撒廃がつぎつぎとなされたことなどの影響で30年頃には経営が悪化していたが、32年2月15日に火災があり事務所と倉庫を焼いた。そこで一時混乱状態にあったが、35年事務所を新築、再建され、その後経営努力がなされ、44年県営圃場整備事業がなされる頃よりい草の栽培が多くなり、い草のほか葉たぱこ、施設園芸、米などの取扱いも多くなった。昭和50年5月1日に宿毛市農業協同組合と合併した。

合併後の状況
宿毛市農業協同組合は合併後農村近代化と高度経済成長に対応するため、施設設置、販売態勢の強化、営農指導事業に力をいれた。施設としては合併に先立ち42年新田に約4千坪の土地を購入しみかん選果場を、43年に小筑紫支所の事務所及びガソリンスタンドを新築した。続いて45年に新田に野菜集荷場、47年に育苗センター、48年にライスセンターを新築し、50年には橋上支所を神有から橋上へ移転し、事務所、ガソリンスタンド、店舗を新築した。
営農指導事業としては、適地適作化の線に沿って、みかん栽培、い草栽培、施設園芸、露地野菜、米などに力を入れ、販売態勢の強化、農業の省力化などをめざし、みかんの選果、野菜の集荷などを行なうと同時に良質の製品の出荷と市場価格の動向に対応するために低温農業倉庫、野菜冷蔵庫を設け、育苗センターにて育苗し苗の供給を行ないライスセンターでもみすり、精米などを行なっている。
昭和51年に行なわれている特色あるものに農家による農業機械の機械銀行を造り、農作業及ぴ農業経営受委託事業の推進、施設野菜、露地野菜などの生産向上、い草、マッシュルーム、しいたけ、花木などの増収、養豚の集団多頭飼育などがある。
昭和50年の購買品は9.52億円で内訳は燃料32.5%、飼料20.7%、肥料農薬15.3%、農機13.8%、生活資材11.8%、生産資材5.9%である。販売品は約11億円で米38.2%、豚20.5%、やさい21%、みかん9.9%、その他10.4%である。
昭和50年現在の組合員は正組合員2,054名、准組合員356名、計2,410名であり、職員は97名で杉本時男組合長の下経済激変の時代に対応した経営を行うべく努力を重ねている。
宿毛市農業協同組合の機構は次頁の図の通りである。


                     宿 毛 市 農 業 協 同 組 会 機 構 図
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                                  | 総会(総代会) |
                                  ----------------------
                                       |
                      ------------------     --------------     ------------------
                      | 監 事 会 |----------|組 合 長|----------| 理 事 会 |
                      ------------------     --------------     ------------------
                                       |
                                    --------------
                                    | 副組合長 |
                                    --------------
                                       |
                                    --------------
                                    | 専 務 |
                                    --------------
                                       |
     ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
     |         |       |       |       |      |     |     |     |    |   |
     |         |       |       |       |      |     |     |     |    |   |
    ------       ------     ------     ------     ------    ------   ------   ------   ------  ------ ------
    |山|       |小|     |橋|     |販|     |機|    |購|   |営|   |共|   |信|  |経| |企|
    |奈|       |筑|     |上|     | |     |械|    |買|   | |   | |   | |  | | |画|
    | |       |紫|     | |     |売|     |燃|    |畜|   |農|   |済|   |用|  |理| |管|
    |支|       |支|     |支|     | |     |料|    |産|   | |   | |   | |  | | |理|
    |所|       |所|     |所|     |課|     |課|    |課|   |課|   |課|   |課|  |課| |課|
    ------       ------     ------     ------     ------    ------   ------   ------   ------  ------ ------
     |         |       |       |       |      |     |     |     |    |   |
     |         |       |       |       |      |     |     |     |    |   |
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 | | | | |   | | |   | | |   | | |   | | |   | |   | |   | |   | |   |   |
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|芳|上|芳|営|信| |給|営|信| |楠|営|信| |育|撰|集| |L|農|給| |畜|購| |倉|指| |保|推| |貸|貯| |経| |管|
|奈|分|奈| | | | | | | |山| | | |苗| | | |P| | | | | | | | | |全| | | | | | | | |
|出|出|出|農|用| |油|農|用| |出|農|用| |ラ|果|荷| |G|機|油| |産|買| |庫|導| |短|進| |付|金| |理| |理|
|張|張|張| | | | | | | |張| | | |イ| | | | | | | | | | | | | |期| | | | | | | | |
|所|所|所|係|係| |所|係|係| |所|係|係| |ス|場|所| |係|係|所| |係|係| |係|係| |係|係| |係|係| |係| |係|
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