宿毛市史【近代、現代編-官公署】

官 公 署

宿毛は幡多地区西部の中心地であるため多くの官公署がある。主要な官公署の沿革は次の通りである。

宿毛簡易裁判所、高知家庭裁判所宿毛出張所
昭和22年5月3日宿毛簡易裁判所が宿毛に設置され、高知地方法務局宿毛出張所事務室の一部を仮庁舎として開庁した。
昭和25年5月20日宿毛市宿毛2,839の1(土居下)の現位置に現庁舎が落成し、26年1月1日高知家庭裁判所宿毛出張所が併設され現在に至っている。
管轄区域は宿毛市と大月町である。

宿毛簡易裁判所
宿毛簡易裁判所

宿毛区検察庁
昭和22年5月新設され、宿毛警察署内で開庁し、昭和24年3月宿毛市宿毛2,839(土居下)の現位置に新庁舎が竣工し移転、現在に至っている。
職員は検察官1名(中村と兼任)検察事務官2名である。

高知地方法務局宿毛出張所
明治21年10月中村治安裁判所宿毛出張所として開庁したのであるが、当時の庁舎並びに諸施設、現在の敷地は明治22年7月、宿毛地元民有志(黒川多聞外5名)の寄贈により国有財産となったものである。
明治23年11月には中村区裁判所宿毛出張所、昭和22年5月には高知司法事務局宿毛出張所、昭和24年に高知地方法務局宿毛出張所と庁名が変更され現在に至っている。
庁舎は改修改造を加えてきたが、昭和19年に改築、更に昭和47年3月に鉄筋コンクリートの新庁舎が落成した。
所管は開庁当時は宿毛町、和田村、橋上村の全域と小筑紫村の一部であったが、昭和19年には沖の島村の全域が入り、昭和36年には小筑紫町の全域のほか、平田村、山奈村、三原村の全域が管轄となり、昭和48年には大月町全域が入った。その地域の商業、法人、船舶、不動産の登記事務が主な仕事である。

高知地方法務局宿毛出張所
高知地方法務局宿毛出張所

宿毛海上保安署
海上保安庁が設置されたのは昭和23年5月でありそれにともなって高知に海上保安部が開設された。
同年10月宿毛町警察より巡視艇「きさらぎ」が移管され、高知海上保安部所属となり、宿毛基地に派遣された。
宿毛海上保安署は翌昭和24年9月に開設、12月巡視船「しまちどり」が配属され本格的な海上保安活動がはじまった。昭和25年には宿毛警備救難署と改称されたが、この当時までは片島にある宿毛測候所の一室で事務をとっていた。昭和26年5月庁舎完成、次で「きさらぎ」に代って「あさひ」が配属、担任水域も佐田岬から足摺岬までとなった。その後巡視船「おきちどり」巡視艇「かわかぜ」等が配属されて異動もあったが、昭和38年新造巡視船「つるぎ」が配属されて、担任水域も37年に高茂崎から幡多、高岡郡境(土佐清水の担任水域を除く)に拡張され、その水域の警備、救難、密漁侵漁などの犯罪捜査などを行なっている。現在職員5名、乗務員17名である。

巡視船つるぎ
巡視船つるぎ

宿毛測候所
宿毛測候所は片島にある。昭和17年3月建設に着工し、18年1月から観測をはじめた。39年には測風塔が建設され、1日3回気圧、風速風向、気温、降水量、日照、雲等の一般気象が観測され、無線電話で高知気象台へ報告し、更に高松、大阪、東京へと送られて天気図等の作成にも役立っているのである。

宿毛営林署
宿毛営林署は愛媛県南宇和郡の全域、及び高知県の宿毛市(小筑紫、沖の島町の一部を除く)、三原村の大半、中村市の一部の国有林を管轄区域としており、その国有林の面積は8,810ヘクタールである。
これら管内国有林は、もと土佐、宇和島両藩の所領であったのであるが、明治2年版籍奉還とともに官林として国有になり、内務省の管理内に入った。更に明治14年に農林省が設置されるとともに農林省山林局の管轄に移されたものである。
この国有林のうち高知県の分は、明治15年3月高知山林事務所の管理下に宿毛派出署によって管理せられることになり、愛媛県の分は愛媛県山林事務所の所管となった。明治19年4月大小林区署の管制がしかれ、高知、愛媛両大区に属し、宿毛事業区は高知大林区署中村派出所、篠山事業区は愛媛大林区署御荘小林区署の所管となった。
その後明治21年3月三原小林区署が設置され、26年6月には三原小林区署を廃止して宿毛小林区署を設置したが、これが宿毛営林署のはじめである。
明治34年篠山事業区に城辺小林区署を設置したのであったが、大正3年それを廃止して宿毛小林区署へ合併し、ついで大正13年宿毛営林署と改称して現在に至っている。
現庁舎は昭和27年度に新築、昭和39年度に一部増築したものである。

宿毛営林署
宿毛営林署

宿毛土木事務所
幡多支庁の土木課の宿毛詰所が戦前からあったが、昭和27年6月1日幡多支所宿毛土木出張所が、土居下の乾繭倉庫をかりて開所、同年7月機構改革によって高知県土木部宿毛土木出張所となった。その後宿毛小学校の校舎、旧町役場等を借りていたが、昭和35年5月21日新田に庁舎を新築して移転し、40年4月1日高知県土木部宿毛土木事務所となって現在に至っている。
開所当時(27年)15人であった職員も現在では53人となり災害復旧工事、道路改良、河川改修、漁港改修、砂防工事等を行ない、住民の生命財産を守り福祉の進展を図るため活躍している。

宿毛電報電話局
宿毛電報電話局が発足したのは、昭和27年2月1日であるが、それまでは電報、電話の業務は郵便局で行なわれていた。
高知宿毛間に電信線を新設しモールス電信機を使って電信業務が開始されたのは明治26年3月16日であり、この時宿毛郵便局を宿毛郵便電信局と改称した。
やがてこの電信線は宇和島まで延長となり、明治41年にはモールス印字機か使用された。
電話線は大正10年2月1日に中村宿毛間に開通し、この日より宿毛郵便局で電話交換業務を行なった。電話線はその後大正12年には小筑紫、橋上、15年には片島へと延長されて電話は宿毛以外へも普及していった。
昭和27年宿毛電報電話局として発足、同38年2月10日新局舎(鉄筋3階建、建坪720平方メートル)が宿毛法京ヶ市に落成、同年8月25日高知県で5番目の自動式電話として開局した。平田、橋上の電話加入者を統合し、昭和40年に全国即時網に編入された。昭和46年小筑紫局の電話加入者、47年山奈町の加入者を統合して現在に至っている。

宿毛電報電話局
宿毛電報電話局

宿毛郵便局
明治5年4月27日宿毛郵便役所として郵便業務の取扱いをはじめたのであるが、明治13年には四等郵便局となって宿毛郵便局と改称した。明治14年には通常為替事務の取扱い、15年には貯金事務の取り扱いが開始され、26年3月16日三等郵便電信局となり宿毛郵便電信局と改称されて電信事務も取り扱うようになった。明治29年には小包事務取扱いが開始され36年4月1日には宿毛郵便局と改めその後名称の変更はなく現在に至っている。大正5年には簡易保険事務、大正10年には電話事務取扱いも開始し、大正12年に宿毛町2567の1へ局舎を新築し、昭和15年特定郵便局となった。
昭和27年2月1日宿毛電報電話局が設置されて電信電話事務は分離し、29年宿毛市水道町に局舎移転、41年現位置に新局舎新築落成、その後49年に局舎を増築したのであるが、その間41年3月1日に普通局に昇格し片島局の集配区を統合している。
宿毛局の管轄区域は旧宿毛町(和田村を含)全域だけである。

宿毛郵便局
宿毛郵便局

橋上郵便局
橋上郵便局は明治7年11月16日に橋上郵便所をして開局し郵便事業を取扱ったのであるが、その後橋上郵便局となり、明治32年に貯金と為替、33年に小包、大正5年に簡易生命保険、大正12年に電話、昭和元年に郵便年金、昭和6年に小児保険、10年に和文電信の取扱いを開始し、現在に至っている。特定郵便局で、管轄は橋上町全域である。

片島郵便局
明治41年2月11日に片島の1086の102番地に開局したのであるが、当時は局長を入れて2名の職員であった。郵便、為替、振替、小包などが業務内容であったが、戸数も片島には2、30戸しかなく郵便物も1日に1件か2件しかなかったという。
明治44年に国内電報、大正5年に簡易保険の業務取扱いを開始し、大正7年1月11日1086の118番地に新築移転した。
大正15年電話通話事務を開始したが、片島だけでこの局に一つ電話があるだけで、すべての人が局に来て電話をかけたのである。昭和4年には電話交換業務を開始したが、その時の加入者は30位であった。
昭和26年には集配局となったが、これは41年に廃止された。昭和27年、宿毛電報電話局の発足と同時に電話交換を廃止し、38年には電報配達も廃止した。昭和39年1086の827番地に新築移転し、現在に至っている。特定郵便局である。

母島郵便局
明治12年5月16日母島985番地に開局し、32年貯金、為替、33年小包、大正5年簡易保険業務を開始した。大正12年に無線電信業務をはじめたがこれは昭和29年に廃止した。
昭和14年には母島953・4番地に移転し、16年には電話交換業務を開始、同47年母島905・6番地の現位置に新築移転した。特定郵便局である。

平田郵便局
昭和3年7月平田郵便取扱所として開所し郵便、為替業務を取扱い、同11年1月平田郵便局と改称し年金、電信、電話の取扱いをはじめた。25年には電話交換業務をはじめたがこれは37年宿毛電報電話局に統合された。無集配特定郵便局である。

小筑紫郵便局
明治35年3月10日郵便為替貯金受取所として開所し、明治38年4月1日官制改正で三等郵便局となり小筑紫郵便局と名称を変更した。43年郵便物の集配業務をはじめた。44年電信、大正5年簡易保険、大正12年電話、15年郵便年金業務を開始した。
局舎は昭和21年失火で焼失したため、栗生氏宅に移転、昭和51年9月小筑紫タテ場に新局舎を建築し移転した。

宿毛上町郵便局
宿毛の上町にあって、昭和42年10月16日に開局、無集配局であるが、開局以来集配以外の郵便一般業務を取り扱っている。局員は3名である。