宿毛市史【近代、現代編-教育-義務教育】

昭和初期の小学校

昭和の初期は、大正末期の経済不況、昭和2年の金融恐慌、同4年の世界的経済恐慌等による失業者の増大、労働争議や社会不安、左翼思想の隆盛、思想運動、それに対する政府の「治安維持法」の公布や弾圧的取締り等々、社会状勢の混沌とした時代であった。この影響をうけて、町村財政は窮乏し、遂に県下各地で教員俸給削減や延滞という事態や、学校の整理統合、老齢教員や代用教員の免職にまで発展したのであった。また、この時代には荒廃した農漁村の自力更正の意味を含めて「郷土を知り、郷土を愛し、郷土に奉仕する人間形成」を目的とした郷土教育が盛であった。市史編纂室に保存されている宿毛小学校の昭和7年発行の『郷土調査』同10年発行の『郷土振興教育』も当時郷土教育の盛であった証拠となる資料である。
また満州事変(昭和6年)以後は、皇道主義、軍国主義の勢力が台頭し、次第に戦時体制に移行する傾向を示し、盛であった児童中心主義の自由教育も、皇道主義、軍国主義を背景とした抑圧的教育によって影をひそめるようになった。

旧二の宮小学校
旧二の宮小学校