すくもの福祉人インタビュー

高知県立宿毛高校の部活動の一つ、地域貢献部の6人が宿毛で高齢者の生活を支える仕事をしている福祉人(ふくしびと)たちの取材・撮影を担当しました。

みんなの「やりたいこと」を応援したい

中野 知美さん

大井田病院 コミュニティナース

大阪府立北千里高校、神戸大学医療技術短期大学部卒

資格:看護師、ケアマネジャー(介護支援専門員)

病院の外で、地域の中で

コミュニティナースを一言で言うと「健康おせっかい」です。すくもいきいきサロンや百歳体操、個人のお宅などに出向いて、皆さんとおしゃべりしながら体調や家族のこと、暮らしのことを聞かせてもらっています。相談に乗るというよりは会話を楽しみながら一人ひとりを知っていく感じで活動してます。

「ゆめ・スマイル」さんや住民さんと一緒に、月1回の水曜サロンも開いています。ここは「人の集まるところは苦手」という人も参加できる少人数のサロン。「なんちゃあせんでも、座ってお茶飲んでたらええで」みたいな居場所が提供できればなと思ってます。

地域の人がやりたいことを応援して、みんなが活躍できる場をつくることがコミュニティナースの大事な仕事。病院で待っていたら、病気になって大変な思いをしてる患者さんにしか出会えへん。住民の皆さんが病気になる前に地域に出て、一人ひとりに会って心と体の健康のために活動できるんじゃないかっていうのがコミュニティナースの考え方です。

元々は大阪で急性期病棟の看護師をしていたんですが、病院の中からは患者さんの生活が全然見えない。院内の医療と、患者さんの暮らしは本当につながってんのかなとすごく疑問やったんですよね。そんな時、東日本大震災の被災地に支援に入って「地域医療がやりたい」って思いました。土佐清水に知り合いがいたこともあって、高知に来ました。

この仕事をしていて、人のやりたいことを一緒に実現できるのが最高やなって感じます。住民さんのやりたいことや能力を表現する機会をつくったり、医療職や行政の人の思いを後押ししたり。患者さんだけじゃなくて、関わる人みんなの思いを応援できるのが一番うれしいです。

だから、何歳になってもやりたいことやチャレンジすることを諦めてほしくない。80代で「コミュニティナースになりたい」って言ってくれた人もいました。周りが驚くようなことでもどんどんやってみてほしい。サポートしますから、一緒にやってみましょうよ。

コミュニティナースとは

島根県雲南市の「コミュニティナースカンパニー株式会社」代表、矢田明子さんが始めた取り組みです。暮らしの中で、地域の人たちと一緒に「うれしい」や「楽しい」をつくるのが特徴です。2016年から700人以上が講座を受け、全国で活動しています。