宿毛市

火の玉なんじゃろ

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その1

最近火の玉の研究もなかなか熱心にやられるようになり、日本でも早稲田大学の大槻先生など火の玉観測情報センターをつくって研究しているようです。
さてその火の玉、世の中が昔とちごうてそうぞうしくなると出て来るのがいやになるのか、近頃あんまり出会うたという話を聞かんが、 夏の夜など涼み台に集まって聞くお化けの話。そこではたいてい一役買っていたものだし、出会った人もたくさんおった。
お墓の中から燐が飛び出る。たいていの人がそんなことを言うたが、それもおかしなことだろう。


その2

中学生以上のみんななら知っているだろうが、普通では黄燐(おうりん)赤燐(せきりん)、そのうち気温があがって自然に燃えるのは黄燐ということだ。
第二次大戦でアメリカ軍が使った黄燐焼夷弾(おうりんしょういだん)、木造の家を焼く大きなマッチだったと言えるが、たしかに燃える。
墓場の穴から飛び出すことまでは考えられても、それだけの熱をだすなら火の玉の飛んだ所は火事騒動がついて来る。そう考えるとおかしなことだろう。大小、色もさまざまなのもを何度か見たが、わらぐろにさえ火はつかない。


その3

何年か前メタンの様なガス説も出たが、これも同様おかしいとこがある。
光を出す虫のかたまりと言った人もあるそうだが、電線にかかって四方八方に輝きながら飛び散って消えた火の玉。
丁度夜明けの頃だったが、明るくなって調べてもそれらしいものの一つも見当たらない。
舟底を走る火の玉もあるが、それは夜光虫のかたまりだと言うことを否定は出来んが。中には蛍を食ったひき蛙が うごくと火の玉に見えるんだという説まである次第で、今のとこなんともこれだと言い切ることはむつかしそうだ。
火の玉が飛ぶのは夏だとは限らない。墓場とも限らない。


その4

町の中でも出ることがあるし、道路わきから出ることもある。
学生時代に見た営所での火の玉なんか今でもはっきり覚えているが、あるいは小中学生のみんなのおじいさん達の中にはそれを知っている人がおられるかも知れん。
どす黒い様な赤色のバレーボール位の丸い玉。東の空から西に向けて兵舎の上空を飛んで行く。
時間は午前一時すぎ、召集のすこし年のいかれた兵隊さんが、戦地に向うときだけ飛ぶと、お世話になっていた班長さんが話してくれた。憲兵(けんぺい)の一人がスパイの信号ではないことだけははっきりしたが、どれだけさがしても原因は 判らない、と話してくれた。
なんとも不思議な気持ちで見た火の玉だった。


その5

空気の原子や分子がこわれてプラズマ状態になり、言えば稲光(いなびかり)の様なものといった考え方。 自然にある放射線が空気の原子や分子を火の玉にする。こんな考え方が今の所一番進んだ考え方と言われるが、 それにしてもいろいろな火の玉を実際見てくると決まりきった説明がつくもんだろうかとうたがいたくなる。
お化けの話につきもんだったからといって、火の玉に取って食われた人はない。学者はその正体をつかもうと調べ始めた。
お家の人にも聞いてみたら面白い話が出て来るかも知れん。
すこうしかたい話になってしもうたが、若い人達こんな話も頭のすみにちょっとおいてもらうと有難い。
ちょっとちごうた話になって相すみません。

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